マヨルカ島はソィエル Soller の宿で迎えた日曜日。
最終日の今日は、ショパンと彼の恋人ジョルジュ・サンドが過ごしたヴァルデモッサ Valldemosa へ向かいます。
ソィエルからまた車で30分ほど、山道をぐるぐる走りながら辿り着いたところは、美しい村。
ヴァルデモッサは世界遺産としても知られています。
当然観光客も多勢闊歩していますが、観光地の様相をしながらも、不思議とどこか懐かしいような、そんな気持ちにさせられます。
土壁の家屋が建ち並ぶ道を通り抜けながら仰ぐ空に、ピンクやブルーの旗がなびいています。
さて、この日のメインであるショパンとサンドが過ごした家を訪問します。
家といっても、ここはカルトゥハ修道院というところで、彼らが滞在した修道院内の一室がショパンミュージアム Museo Chopin y George Sand
という名の博物館として公開されているのです。
病弱で療養のためここに滞在した作曲家ショパンと、「男装の麗人」と呼ばれた作家サンド・・・。
ふたりが滞在していた時期は1838年から1839年の冬。
この日のように太陽が照りつける日ばかりではなかったでしょうし、修道院内はとても寒かったことでしょう。
しかし創作意欲は刺激されたのか、ショパンはここでかの有名な「雨だれのプレリュード」を完成させ、「バラード第2番」、「2つのポロネーズ」、「スケルツォ第3番」の作曲に取りかかります。
館内にはショパンが使用していたピアノや、自筆譜などが展示されています。
また、サンドはここでの日々をもとに「マヨルカの冬」という小説を書きました。
テラスからの風景!
ミュージアムに入るとショパンの曲の生演奏が聞こえてきたので、ショパンミュージアムは来場者にピアノを開放しているのか〜さすがだな、と思いきや、どうやらコンサートのリハーサルのようでした。
最初はあまり気に留めずに心地良いBGMにしながら展示を鑑賞していたのですが、どうも音楽が只者ではない雰囲気。
改めて拝見すると、なんと、ケヴィン・ケナー氏でありました。
ショパン・フェスティバルが開催中の時期だったようで、思いがけず贅沢な時間が過ごせました。
ミュージアムを後にして、散歩します。
マーケットで果物を買いました。
謎の新郎新婦。
ピンカーブ満載の険しい山道を下り、またもやビーチへ。
この日のお目当てはパエリア。
陽気な給仕さんが出来たてにレモンをキュッと絞って、その場で取り分けてくださいました。
腹ごしらえの後はもちろん泳ぎます。
ここ Port de Valldemossa はマヨルカで訪れた三つのビーチの中でも一番ひとが少なく、ゆっくりできました。
レストランは満席だったので、やはり皆さんも食べ物のために細い山道をひたすら下って来られるのでしょうか。
ヴァルデモッサの夕暮れを見ながら国道を走り抜け、
道路脇に生えたサボテンの実を収穫。
ドラゴンフルーツってこれのことだったんですね。
初めて食べた南国の味。甘くて食べ応えのある食感、クセになりそうです。
今夏の短くも濃密なマヨルカへの旅は、これを持って完結です。
またスペインの太陽が恋しくなった時には必ず訪れたいと思います。
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撮影:萬谷衣里
All photos are taken by Eri Mantani