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4月のコンサート中止のお知らせと現在のドイツ、ベルリンの状況について

新型コロナウィルス感染症の世界的な感染拡大の影響により、4月に兵庫、大阪で予定しておりました下記のコンサートは、両公演とも大変残念ながら中止せざるを得なくなりました。

 

4月10日「芸文ワンコインコンサート 萬谷衣里(兵庫県立芸術文化センター)」

4月11日「ベヒシュタインを聴くピアノコンサート 萬谷衣里(毎日文化センター大阪)

 

Due to the world wide situation caused by the new corona virus infection, my concerts in Japan (Hyogo and Osaka) will be cancelled.
Due to the world wide situation caused by the new corona virus infection, my concerts in Japan (Hyogo and Osaka) will be cancelled.

 

楽しみにしてくださっていた皆様には大変申し訳なく、私自身も悔しい気持ちでいっぱいです。

大阪、兵庫共に感染が広がり、公演可否について主催者の方々と連絡を取り合う中、突如としてヨーロッパが深刻な事態となり、現在の状況では帰国自体が物理的にも不可能になってしまいました。

ベルリン-大阪間の飛行機のキャンセル、渡航制限に加え、日本では欧州からの外国人に対する入国拒否の措置も取られています。また、海外から帰国する日本人に対しても2週間の待機要請が出ています。

 

4月10日兵庫公演のチケットをすでにご購入いただいた方には、払い戻しにつきまして、主催者または私のほうからご連絡させていただきました。 11日大阪公演につきましても、ご予約をいただいた皆様へお知らせしております。

多くのイベント、演奏会が中止や延期に追い込まれるのは辛いですが、今は世界が一丸となって、困難を乗り越える時期かと思います。皆様のご理解、ご協力をお願い申し上げます。

ドイツ、ベルリンの現在の状況 (3月27日)

ここ二週間でドイツでの生活環境は劇的に変わりました。

 

新型コロナウイルスの急激な感染拡大に対処するため、3月12日にメルケル独首相が呼びかけたのは、可能な限り社会的接触を避け、参加者が1千人未満であっても、すべての不要不急のイベントを取りやめるように、という内容でした。

翌13日には、ドイツ全土で幼稚園や学校の閉鎖が決まり、私の勤め先の音大も4月20日まで休校になりました。

14日以降は行動制限が段階的にアップデートされていき、16日にはドイツと隣国の国境が事実上の封鎖に。

また、時を同じくして多くの航空会社が続々と減便・運行停止していき、私が乗るはずだった飛行機も飛ばないことになりました。

 

Coronavirus: TV-Ansprache von Kanzlerin Merkel  © Tagesschau
Coronavirus: TV-Ansprache von Kanzlerin Merkel © Tagesschau

3月18日の夜にテレビ放映されたメルケル独首相による演説(Tagesschau Coronavirus: TV-Ansprache von Kanzlerin Merkel  )は、とても心に響くものでした。この危機に対して「第二次世界大戦以来の最大の挑戦」と語気を強めた首相の約12分間のスピーチは、何が今一番優先されるべきことなのか、どのように行動するのが最善なのか、人々に気付かせ、今後継続される行動制限についても納得させるものでした(演説の日本語訳は「メルケル首相、演説、日本語訳」のワードで検索すると、丁寧に訳されたサイトが出てくると思いますので、興味のある方はチェックしてみてください)。

ドイツ全土における防疫措置

首相の演説が放送されたあとの3月22日、新たなガイドラインがドイツ全土における防疫措置として発表されました。他人との接触と外出を制限するもので、事実上のロックダウン(都市封鎖・いま話題のカタカナ語…)です。

以下、在ドイツ日本国大使館より配信された緊急メール(3月22日付)に掲載された内容です。ポイントを太字にしてみました。

 

1)同居家族等以外の他人との接触は絶対に必要な最低限とすること。
2)公共空間において,他人との距離を必ず最低1.5メートル,可能であれば2メートル以上とること。
3)公共空間における滞在は,単身か,または家族以外の1名,または家族の同伴に限り認められる。
4)職場への通勤,緊急時ケア(託児,高齢者介護等),買い物,通院,試験や会議等重要な日程,他者の支援,個人によるスポーツ,屋外での新鮮な空気を吸うための運動やその他必要な活動のための外出は,引き続き認められる。
5)ドイツにおける深刻な状況に鑑み,グループによるパーティーは,公共の場所か私的な空間(住居)かを問わず許容されない。秩序局または警察が取り締まり,違反行為には罰則が適用される。
6)すべての飲食店は閉鎖する。ただし配達サービスや持ち帰り等により,個人が自宅で飲食するための料理の販売は例外。
7)理髪業,美容サロン,マッサージ業,タトゥー業など,身体のケアに関わるサービス業は,近距離での身体の接触を避けられない職種であり,本ガイドラインに合致しないため,すべて閉鎖する。ただし,医療上必要な治療は引き続き認められる。
8)人々との接触があり得るすべての現場については,公衆衛生に関する規則を守り,従業員や訪問客に対する効果的な保護措置を実施することが重要である。
9)上記の措置の適用期間は最短2週間とする。※4月5日まで。以降は未定


これによると、家族や同居人以外と3人以上で集うことは罰則の対象になります。家に友人を招くこともできません。違反した際の罰金は200ユーロ(約2万5千円)から最大25.000ユーロ(約300万円)だそうですが、命に関わることなので当然と言えば当然です。また、身分証明書の携帯も義務付けられています。

自宅でリモートワークをする人が増え、普段は混む道路も広々と空いています。生活必需品を扱う店以外は全て閉店、レストランやカフェも閉まり、公園も遊具があるエリアはご覧のように封鎖され、町はとても静かです。

 

Locked playground in Berlin
Locked playground in Berlin

 

個人でのスポーツは許されているので、私はできるだけ毎日ジョギングをするようにしています。また、移動には自転車を使うようにし(ベルリン市交通局の年間パスを持っているのでもったいないのですが)、その際も他人との距離に気をつけています。

スーパーも場所や時間帯によっては入場制限があり、店の外まで何十メートルにも渡って行列が作られているところもあります(最低1,5メートルの間隔をあけるので必然的に行列は長くなります)。時には店内で殺気立っている買い物客に出くわし、何もそこまで…と感じることも。自分の身を守るために必死とは言え、閉口してしまいます。

 

メルケル首相も演説の中で強調した「一致団結、連帯(Solidarität)」という言葉は、毎日のニュースの中で何度も耳にしますし、誰かがこの単語を手書きした大きな看板が道端に掲げられているのを見かけたりもします。ハイリスクである高齢者の方にお使いを申し出る張り紙が家の玄関口に掲示されていたり、助け合いの精神を感じさせる動きも多いです。一方、コロナ・パーティを催す無自覚な若者が未だにいることも確か。一体何を根拠に自分たちが感染しない、感染させない、と言い切れるのでしょうか。 

 

Stay at home
Stay at home

 

一致団結。ドイツだけでなく今の世界に最も求められていることだと思います。

今週末は日本でも不要不急の外出を自粛するよう呼びかけられています。

オリンピックが延期になった今、何か故意に調整したりする必要もなくなるはず。

手遅れにならないことを願います。

 

萬谷衣里

 

 

●在ドイツ日本国大使館 
 新型コロナウイルスに関する最新情報(ドイツ)

 https://www.de.emb-japan.go.jp/itpr_ja/konsular_coronavirus200313-1.html

 

●外務省 海外安全ホームページ 

 https://www.anzen.mofa.go.jp/