一年ぶりの日本での演奏会が近づいて参りました。今夏は大阪、東京、奈良、名古屋での全5公演です。
奈良と大阪でのリサイタル(8月3日 アートサロン空、8月10日 ヒビキミュー ジックサロン リーヴズ)は、2014年の青山音楽賞受賞対象公演以来、実に5年ぶりの自主公演です。
プログラムは「ロマン派の巨匠たち 若き日の傑作」と題し、シューマンとブラームスの初期の作品をメインに組みました(同じ曲目で 7月28日 東京・渋谷での公演もございます)。 ブラームスのバラードは華麗さが際立つショパンのそれとは違い、悲哀漂う重厚なメロディが 印象的です。その音楽は例えるならば、滋味ある発酵食品のよう。シューマンは、これまでのコンサートで小品を弾いたことはありますが、30分近い作品を演奏するのは初めて。私の「馴染みのない作曲家」ランキング上位に常に君臨していた彼ですが、今年はお近づきになれるでしょうか。
彼らが生きた時代には、ヴァイオリニストのパガニーニが活躍し、その悪魔に魂を売り渡したとも言われる超絶技巧の名人芸は、多くの作曲家たちに影響を与えました。シューマンもそのひとり。テーマと変奏の形をとる交響的練習曲の第4変奏からは、特にパガニーニのヴァイオリンテクニックを模倣したようなパッセージがあります。リストもパガニーニの作品を基に「パガニーニによる大練習曲集」を作曲。この中でも最も有名なのが今回演奏する第3番「ラ・カンパネラ」です。リストは既存の楽曲のアレンジに長け、交響曲やオペラ、歌曲等、様々な作品をピアノ独奏曲 に編曲しました。シューマンの歌曲「献呈」も原曲の美しさにピアノソロならではの華やかさを加え仕上げています(シューマンの妻クララはこの編曲に納得がいかなかったようですが...)。
この他、イタリアの作曲家ブゾーニによる、バッハのオルガン曲のピアノ編曲版をお届けいたします。ドイツの教会でパイプオルガンを聴く機会は多く、その壮大な響きにはいつも震えるほど圧倒されます。そんなドラマチックな音の世界を、この作品から感じていただけたら嬉しいです。
お忙しいとは存じますが、どうぞ是非お越しいただけましたら幸いです。
皆様に会場でお目にかかれますことを心より楽しみにしております。
萬谷 衣里
萬谷衣里ピアノリサイタル − ロマン派の巨匠たち 若き日の傑作 −
奈良公演のご案内です。そのほかの公演詳細: ●7月27日 大阪 ●7月28日 東京 ● 8月10日 大阪 ●8月14日 名古屋
【日時】 2019年8月3日(土)15:00 開演(14:30 開場)
【会場】 アートサロン空(奈良県奈良市学園北1丁目6-15)
【入場料】 全自由席・ティータイムつき 3,000円 (予約制)萬谷衣里公式ファンクラブ会員は500円割引
満席御礼・キャンセル待ち受付中
【プログラム】
- J.S.バッハ=ブゾーニ:トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調 BWV564
- ブラームス:4つのバラード 作品10
- リスト:ロマンス S.169
- リスト:ラ・カンパネラ
- シューマン=リスト:献呈
- シューマン:交響的練習曲 作品13
【ご予約方法について】以下のメールフォームに必要事項をご記入の上、お申し込みください。
【主催・お問合せ】www.erimantani.com
【会場アクセス】